更新日:2025.11.12

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2025年1月から、介護事業法人における経営情報の公表化が義務化され、「株式会社」と「社会福祉法人」の両方が、公開に際して各事業所・拠点ごとの収益や費用を正確に把握し、報告する必要が出てきました。
今回の公表制度に加え、「介護サービス事業者経営情報データベースシステム」(通称:経営情報DB)の報告も求められており、会計集約した結果をCSVなどのデータで報告する対応が必要となりました。
この義務化は、事業区分・拠点区分・サービス区分で会計を分ける必要があるため、部門別の配賦ができていないと会計処理が難しくなります。
事業・拠点・サービスの区分で配賦するのが難しい理由は、業界ならではの理由があります。4つに分けて説明します。
介護事業法人は訪問介護・デイサービス・ショートステイ・グループホームなど複数のサービスを併設し、○○ホームや○○園など複数の拠点を持つことが多いです。加えて「事業」「拠点」「サービス」で会計区分するため、配賦対象の費用が複雑化しています。
例:事業、拠点、サービスの3区別で配賦した共通費科目と困難な理由一例
| 事業区分 | 拠点区分 | サービス区分 | 共通費科目 | 配賦困難な理由 |
| 通所介護事業 | 大阪支店 | デイサービス | 地代家賃 | スペースの利用割合が不明確で、拠点ごとの按分が困難 |
| 居宅介護支援事業 | 名古屋 営業所 |
ケア マネジメント |
広告 宣伝費 |
複数サービスにまたがる広告の効果測定が困難 |
| 訪問看護事業 | 福岡支店 | 訪問看護 | 管理部門 人件費 |
経理・総務などの業務が全社横断的で、部門ごとの貢献度が不明確 |
| 訪問介護事業 | 東京本社 | 訪問介護 | 通信費 | 回線番号によって使われている拠点や事業の把握が困難 |
| 通所介護事業 | 大阪支店 | デイサービス | 水道 光熱費 |
1つの拠点でも契約単位が複数の場合があり、請求内容から区分が困難 |
複数のサービスや拠点で共有している経費(本社機能の費用、共通施設の建物費など)は、いったん「部門共通費」として計上した後、「事業」「拠点」「サービス」の3区分で配賦することで、どの区分でどれだけ費用が生じたかの特定が困難になります。
介護施設では日用品や医療材料、設備維持費など様々な経費があります。現場主導で発注・支払が行われることも多く、請求書も紙や電子が混在しています。本部集約にて手作業で会計ソフトへ入力や、Excelで集計することも多いため、迅速に配賦することが難しいです。また、経営情報データベースや介護サービス情報公表制度の報告に合わせた形でデータを抽出・加工する作業も時間を要します。
厚生労働省が発表した統計では介護事務職の有効求人倍率は約1.92倍と高水準を維持している一方で、経理担当においては人材不足が顕著に表れています。
これらの状況から経理業務が属人化し、標準化・マニュアル化が進まず、担当者が退職や異動になると正確な部門別配賦の実施が難しく、結果として誤った状態で報告されてしまう懸念もあります。
4つの理由から、介護事業では会計区分の報告義務、手作業での集計、人材不足による属人化などが相まって、事業・拠点・サービスに区分した配賦の正確な把握と集計を行うとが困難な状況だと考えます。
解決のために、発生した請求データの部門別配賦をどう正確かつ効率化したらよいかを具体例で交えながら紹介します。
部門別経費の正確な把握と集計の煩雑さを解消するためには、最終的なゴールとして請求データと部門情報を連携させ、集計プロセスを自動化することが有効です。その理想形に至るためのおすすめの方法を3段階に分けて説明します。
各請求をデータ化するために、届く請求は全てWEB明細になるようにします。請求書が紙で届いているものは請求発行事業者に問合せてデータ取得の依頼を行います。紙の請求書でしか受け取れないものはAI-OCRなど受領請求書プラットフォームのツールなどでデータ化が可能です。
全てデータ化した後は、ExcelやCSVなど1つのファイルに統一します。
複数の請求データはRPAやAIなどを利用して前裁きデータへ変換させるようにします。
前裁きで作成した請求データを、会計システムや経営情報DBへ正確に取り込めるように連携します。手入力による作業時間を減らし、入力ミスを防ぎます。
上記3つを一連の流れで行うには仕組み化することで実現可能です。
ですが自社内努力で行うには、部門別配賦する時間や人員がどうしても必要となるので、外部委託することも手段の内です。ただし全てを一度で外部委託して解決するのは現実的ではないため、科目を絞ることを推奨します。まず手を付けた方がよい科目として、通信費と水道光熱費が挙がります。理由として4点あります。
そこで、インボイスが支援する通信費と水道光熱費の部門別配賦と一括請求サービスをご紹介いたします。
インボイスの一括請求サービスは、通信費と水道光熱費の請求書を一括で受領・立替払いし、毎月1回の電子請求書と部門別配賦したデータを提供します。

通信費は電話回線番号、水道光熱費は請求書のお客様番号を請求単位とし、予めどこの何の請求内容か判別できるよう、3区分まで名前を設定したコードを付与できます。届いた請求書と付与いただいたコードを紐づけて、部門別配賦されたCSVをお届けします。
データが一つに集約されているので、お手持ちの会計システムや経営情報DBへ自動連携しやすい構築になっています。
例:通信費 3区分別 付与コード例
グループ1:拠点別 グループ2:部屋別 グループ3:通信手段

各電話回線番号が、どの施設内にある部屋の通信なのかがわかるように設定しています。部門別配賦された状態でのお届けのため、請求書の確認作業や人員の確保も不要です。
一括請求サービスについてよくある質問をQ&A形式で、わかりやすく解説します。
可能です。お客様指定のグループ名で付与いただけます。
「Gi通信」は各通信会社から仕入れ代行を行っているので、当社の請求書を適格請求書として発行します。
「One Voice公共」はインボイス制度の要件を満たした請求書と立替金清算書で発行し、どの請求が適格請求書に対応しているかをExcelデータの一覧で確認できます。
集約データには各種使用量のデータも掲載しているので確認可能です。
2025年1月から始まった介護事業法人における経営情報の公表化は部門別配賦が必須となり、社会福祉法人と株式会社両方にとって負担が増えてます。自社内努力では中々解決できない、介護事業ならではの業務があるのも現実です。外注をはじめ、自動化・効率化が手段の一つだと考えますので、検討されてみてはいかがでしょうか。
通信費の請求書なら「Gi通信」
水道光熱費の請求書なら「One Voice公共」