更新日:2025.12.08

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企業の資金の流れを管理する経理職は、企業にとって欠かせない存在です。
どの業界でも同じような業務と思われがちな経理職ですが、扱う商材やビジネスモデルの違いによって、求められる知識やスキルにも差があります。
近年は、デジタル化やAIの進展、法改正などにより、経理を取り巻く環境も大きく変化しています。こうした変化の中で、「自分の業界の経理の特徴は?」「他業界の経理はどんな働き方をしているのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は、株式会社インボイスが行った「生まれ変わったら、どの業界の経理になりたいですか?」というアンケート(対象:441人)の結果をもとに、経理職のキャリア意識や未来を"業界別"という視点から紐解いていきます。
自社の業務特性を再認識しながら、経理担当者自身のキャリア形成や、組織の業務改善につなげるヒントとしてご活用ください。
今回のアンケート回答者が所属する業界についての調査で、最も多い回答は「製造業」(16.7%)で、次いで「建設業」(10.4%)、「サービス業(その他)」(9.2%)となっています。さらに「卸売業」(8.7%)、「不動産業」(6.1%)、「公務(その他)」も6.1%と、幅広い業界から回答が寄せられました。
特に「製造業」や「建設業」では、原価計算や工事進行基準といった専門性の高い会計処理が求められるため、経理担当者の経験を活かしやすい業界といえます。
一方、「医療・福祉」(5.6%)や「教育・学習支援業」(3.1%)など、公共性の高い分野でも一定の割合を占めています。こうした業界の経理では、補助金や委託費など特殊な会計処理に携わることが多く、社会的意義を感じながら働けるのが特徴です。
全体として、経理職はどの業界でも必要とされる専門職であることが分かります。
【 Q あなたがお勤めの企業は、どの業界に属していますか?】

経理担当者に「もし生まれ変わったら、どの業界の経理になりたいですか」といったアンケート調査を行いました。最も多かった回答は「経理以外になりたい」(24.9%)でしたが、他の業界の経理になりたいという回答をすべて合わせると57.1%にのぼりました。
業界別に見ると、「IT企業でSaaSの仕組みを支えるスマート経理」(9.9%)や「フリーランス支援や会計事務所での経理支援職」(9.7%)が上位に挙がっています。デジタル化が進む中で、より効率的で新しい会計の形に関心が集まっていることが分かります。
一方で、「公共機関でルールや予算に強い守りの経理」(9.2%)や「医療・福祉で多様な請求スキームに対応する経理」(5.3%)など、安定性や社会貢献性を重視する傾向も見られます。
全体として、経理という職種を軸にしながらも、テクノロジーの活用や社会的意義など、自身の価値観に合った領域でキャリアを築きたいと考える人が多いことが明らかになりました。
【 Q もし生まれ変わったら、どの業界の経理になってみたいですか? 】

「他の業界の経理ってなんだかカッコいいなと思うことはありますか?」という質問では、半数が「ない」(50.1%)と回答しており、多くの経理担当者は自分の業界での業務に重きを置いていることが分かります。
一方で、「ある」との回答は32.3%となり、他の業界への関心も伺えます。経理という職種は共通する業務が多いものの、業界ごとに求められる知識やスキルは異なります。たとえば、製造業では原価管理、IT業界ではSaaSモデルの収益認識といった専門性の高い業務があり、他業界の経理に新しさや専門性を感じる担当者も少なくありません。
この結果から、経理担当者は自分の仕事に誇りを持ちつつ、他業界の業務スタイルや仕組みに刺激を受けていることが分かります。業界を超えた知識の交換や経験の共有が進めば、経理の仕事の幅や魅力はさらに広がるでしょう。
【 Q 他の業界の経理に対して「カッコいいな」と思うことはありますか? 】

経理という仕事の未来に対する意識を尋ねたところ、最も多かった回答は「特にない/考えたことがない」(34.9%)でした。多くの経理担当者が、将来について深く考える機会を持てていない現状がうかがえます。
一方で、「不安」(21.3%)や「危機感がある」(20.3%)といった回答は合わせて41.6%に上り、AIの導入や働き方の変化に対する不安を抱く人も少なくありません。
その一方で、「成長できそう」(20.6%)、「面白い変化が起きそう」(12.1%)、「楽しみ」(9.2%)、「希望がある」(6.1%)といったポジティブな回答も合計で48%を占めました。経理の未来に対して、前向きな変化や挑戦の可能性を感じている人が約半数に上ることが分かります。
この結果から、経理担当者にとって「未来」は、不安と期待が入り混じる状況であることがうかがえます。業務のデジタル化やAI活用が進む中で、不透明さを感じつつも、成長や変化を受け入れる姿勢が少しずつ広がっているようです。
【 Q 他の業界の経理に対して「カッコいいな」と思うことはありますか? 】

今回の調査からは、半数以上の経理担当者が他業界の経理に可能性や関心を寄せていることが分かりました。業務量や処理スピード、システム環境の違いを認識している人も多く、そうした気づきを自社の業務効率化に活かすことで、経理全体の意識向上につながると考えられます。
また、今後求められるスキルとして「AIとの共存力」や「経営視点で語れる力」が挙げられており、変化する経理の役割に対応するために、新たなスキルや視野を広げたいという意識もうかがえます。
「もし生まれ変わったら、どの業界の経理になりたいか」を考えることは、単なる理想像の確認にとどまりません。自社の業務特性を客観的に見つめ直し、他業界の手法や考え方から学ぶきっかけになります。
こうした視点の広がりは、業務改善やスキルアップだけでなく、経理部門が経営の意思決定により深く関わるための第一歩にもなるでしょう。
さらに、
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