更新日:2022.08.30
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電子帳簿保存法は、帳簿書類を電子データで保存することを認める法律です。税法によって紙での保存が義務付けられていた書類は、一定の条件を満たせば電子データで保存できます。
●電子帳簿等保存
●スキャナ保存
●電子取引
具体的には、電子帳簿等保存では会計ソフトで作成した書類や、その他電子的に作成した国税関係の書類が保存可能です。 また、スキャナ保存は紙で受け取ったり作成したりした書類をスキャナで取り込み、画像データで保存している書類も保存することができます。もちろんスマートフォンやカメラで撮影したものも認められています。
そして、電子取引では企業間で電子的にやり取りした情報のデータが保存可能です。 スキャナでの取り込みや、電子取引に関しては、数回にわたる法改正の中で新たに認められるようになりました。
●税務署長による事前承認制度の廃止
●優良な電子帳簿に関しては過少申告加算税を軽減する措置
●電子帳簿の要件をさらに引き下げ
これまでに比べると、さらに手軽に活用できるようになっているのがポイントです。
●記録事項の訂正・削除の内容を確認できる電子計算機処理システムを使用している
●業務処理期間の経過後に入力した場合は、その事実を確認できる電子計算機処理システムを使用している
●電子化した帳簿とその他の帳簿に関して相互の関連性を確認できる
●システムに関して概要書・仕様書・操作説明書・事務処理マニュアルを備え付ける
●保存場所にパソコン・プログラム・ディスプレイ・プリンタ・マニュアルを備え付け、速やかに出力できる
●取引年月日・取引金額・取引先で検索できる
●日付または金額の範囲指定で検索できる
●任意の記録項目2つ以上を組み合わせた条件で検索できる
●税務署長の事前承認制度を廃止
●受領者がスキャンする場合の自署が不要に
●タイムスタンプの付与期間を3日以内から最長2カ月以内に変更
●検索要件取引年月日・取引金額・取引先に限定
●税務職員の求めに応じれば、範囲指定による検索要件を廃止
●訂正や削除した部分が確認でき、履歴が残せるシステムであればタイムスタンプが不要に
●原本との照合を行う定期検査を廃止
●スキャナ保存した記録に不正があった場合、重加算税が課せられる
改正前は原本と照合する定期検査の後に、ようやく原本の破棄が認められていましたが、改正後はスキャン後すぐに原本の破棄が認められるようになりました。
では、実際に電子帳簿保存法に対応するためのシステム導入手順をご紹介します。
電子帳簿は便利ですが、導入前後は多くの従業員が困惑します。スムーズに導入できるよう、導入の進め方をしっかり押さえておきましょう。
帳簿 | 決算書類 | 証憑類 |
・仕訳帳 ・売上・仕入れ帳 ・経費帳 ・現金出納帳 ・売掛金・買掛金元帳 ・総勘定元帳 ・固定資産税台帳 など |
・棚卸表 ・貸借対照表 ・損益計算書 など |
・契約書 ・領収書 ・見積書 ・請求書 ・注文書 ・契約の申込書 ・納品書 ・検収書 など |
なお、証憑類はスキャナ保存が認められているのが特徴です。
スキャナ保存できるのは、証憑類のみで決算書類や帳簿はスキャナ保存できないので注意しましょう。
また、相手から受け取った証憑類も同様にスキャナ保存で残します。
▽帳簿保存に関する要件
●記録の訂正と削除の履歴が確認できる
●入力履歴が確認できる
●電子化した帳簿とそうでない帳簿の関連性が確認できる
●詳細なマニュアルが備え付けられている
●電子計算機(パソコンなど)・ディスプレイ・プリンター・プログラム・マニュアルが保存場所にあり、すぐに出力できる
●取引年月日・取引金額・取引先で検索できる(改正以降)
●日付・金額を範囲指定して検索できる
● 2つ以上の項目を条件にして検索できる
▽書類に関する要件
●詳細なマニュアルが備え付けられている
●電子計算機(パソコンなど)・ディスプレイ・プリンター・プログラム・マニュアルが保存場所にあり、すぐに出力できる
●税務職員による質問検査権に基づいて電磁的記録のダウンロードを求められたときに応じられる
[注1]国税庁 はじめませんか、帳簿書類の電子化!(2021-12-28)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018004-061_01.pdf