更新日:2026.08.31

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「電子帳簿保存法への対応期限は延長されたのか」「2026年の今も猶予措置は使えるのか」と迷っている方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、電子取引データの保存義務そのものが延長されたわけではありません。2023年12月31日で従来の「宥恕措置」は終了し、2024年1月1日からは、一定の条件を満たす事業者を対象とした別の「猶予措置」が設けられています。
この記事では、宥恕措置と猶予措置の違い、猶予措置を利用できる条件、「相当の理由」の考え方、猶予中でも必要な対応を整理します。電子帳簿保存法への対応がまだ十分でない場合に、まず何をすべきかも確認していきましょう。
検索で「電子帳簿保存法 延長」と調べると、対応期限が先送りされたように見える情報があります。しかし、2024年1月以降、電子取引で受け取った請求書や領収書などを電子データのまま保存する義務はすでに適用されています。
延長されたのではなく、2023年末までの宥恕措置が終了したあと、要件に則った保存が難しい事業者向けに新しい猶予措置が設けられた、という理解が正確です。
| 時期 | 制度 | ポイント |
|---|---|---|
| 2022年1月~2023年12月 | 宥恕(ゆうじょ)措置 | やむを得ない事情がある場合に、電子取引データの保存要件への対応を猶予する有期措置 |
| 2024年1月~ | 新たな猶予措置 | 相当の理由があり、税務調査時のデータ・出力書面の提示等に応じられる場合、保存時の一部要件が不要 |
新しい猶予措置は、「電子データを保存しなくてよい制度」ではありません。メール添付やクラウドからダウンロードした請求書など、電子取引データそのものは残しておく必要があります。
2022年1月の改正では、電子取引データを電子データのまま保存することが義務化されました。一方、システムや社内ルールの整備が間に合わない事業者が多かったことから、2022年1月1日から2023年12月31日までの2年間、宥恕措置が設けられていました。
この宥恕措置は2023年12月31日で終了しており、2024年以降にそのまま延長されたわけではありません。そのため、現在の実務では「以前の宥恕措置が使えるか」ではなく、「2024年からの猶予措置の要件を満たすか」を確認する必要があります。
2024年1月1日以降は、次の条件を満たす場合に、新たな猶予措置の対象となります。税務署への事前申請や届出は必要ありません。
1|保存要件に従って電子取引データを保存できなかったことについて、所轄税務署長が「相当の理由」があると認めること
2|税務調査などの際に、電子取引データのダウンロードと、そのデータを印刷した書面の提示・提出の求めに応じられること
この2つを満たす場合、改ざん防止措置や検索機能など、電子取引データを保存する際に求められる要件に沿った対応が不要になります。ただし、電子取引データ自体は保存し続けなければなりません。
国税庁は、「相当の理由」の例として、システムや社内ワークフローの整備が間に合わない場合などを挙げています。また、資金繰りや人手不足といった事業者側の事情も判断材料になります。
電子取引データは残せるが、検索要件に対応するシステムの整備が間に合っていない
社内の保存ルールやワークフローを整備している途中である
資金面・人員面の事情により、保存要件に沿った運用環境をすぐに整えられない
一方、必要なシステムやワークフローがすでに整っており、資金繰りや人手不足などの理由もないのに、あえて保存要件に従っていない場合は猶予措置の対象になりません。
参考:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問83」
2023年末までの宥恕措置には明確な終了日がありましたが、2024年からの猶予措置には一律の適用期限は定められていません。したがって、「2026年○月までに必ず終了する」といった制度ではありません。
ただし、相当の理由があることを前提とした措置です。システムやワークフローが整い、通常の保存要件に従って保存できる環境になった場合には、その後の電子取引について通常の要件に沿った保存へ移行する必要があります。猶予措置を恒久的な免除制度として扱わないことが重要です。
猶予措置について特に誤解しやすいのが、「請求書を印刷して紙で保存しておけばよい」という点です。2024年以降の猶予措置でも、電子取引データそのものを保存する必要があります。
たとえばメールでPDFの請求書を受け取った場合は、そのPDFを削除せず保存しておきます。そのうえで、税務調査などで求められたときにデータを提供でき、さらに印刷した書面も提示・提出できる状態にしておかなければなりません。
| 保存方法 | 猶予措置下での扱い |
|---|---|
| 電子データを保存+求めに応じて出力書面を提示できる | 〇 要件を満たせば猶予措置を利用可能 |
| 紙に印刷し、元の電子データを削除する | × 電子取引データ自体の保存義務を満たさない |
| 電子データは残すが、税務調査時に取り出せない | × ダウンロードの求めに応じられない |
電子帳簿保存法には、新たな猶予措置とは別に、一定の事業者について検索機能の確保を不要とするルールがあります。ここを混同すると「猶予措置を使わないとシステムが必要」と誤解しやすいため、分けて考えましょう。
税務職員から電子取引データのダウンロードの求めに応じられる状態にしていることを前提に、次のような場合は検索機能の確保が不要になります。
基準期間(原則として2課税年度前)の売上高が5,000万円以下の事業者
電子取引データを印刷した書面を、取引年月日その他の日付・取引先ごとに整理した状態で提示・提出できる事業者
この措置で不要になるのは「検索機能」の要件です。電子取引データの保存そのものや、改ざん防止など他の要件まで一律に不要になるわけではありません。自社がどの緩和措置を利用しているのかを区別して運用しましょう。
猶予措置を利用しない場合、電子取引データは「真実性の確保」と「可視性の確保」を意識して保存します。専用システムを導入しなければ対応できないわけではありません。
電子取引データが後から不正に書き換えられていないことを担保するため、次のいずれかの方法を採用します。
タイムスタンプが付されたデータを受け取る
受領後、所定の期間内にタイムスタンプを付与する
訂正・削除の履歴が残る、または訂正・削除できないシステムを利用する
訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用する
保存したデータをディスプレイなどで速やかに確認・出力できる状態にし、原則として取引年月日・取引金額・取引先で検索できるようにします。検索要件については、前述した売上高5,000万円以下などの緩和措置を利用できる場合があります。
まだ保存ルールが整っていない場合でも、まず電子取引データを消さずに残すところから始めてください。次の順番で整理すると、対応漏れを減らせます。
メール添付、ECサイト、クレジットカード明細、クラウドサービス、EDIなど、請求書・領収書・注文書等を電子で受け取っている経路を一覧にします。経理部だけでなく、各部署や従業員個人のアカウント経由で受け取る証憑も対象になり得ます。
メールボックスや個人PCに残したままにせず、共有フォルダやクラウドストレージなど保存場所を決めます。猶予措置を検討している場合でも、元データを後から取り出せる状態にしておくことが最低条件です。
タイムスタンプ、履歴管理できるシステム、事務処理規程のうち、自社のコストや取引件数に合う方法を選びます。小規模事業者であれば、国税庁のひな形を参考に事務処理規程を整備する方法も選択肢です。
税務調査時に必要なデータをすぐ取り出せるか確認します。検索要件の免除対象でない場合は、取引年月日・金額・取引先で検索できるよう、システムやファイル名・索引簿で管理します。
電子取引データ保存への対応というと、高額な専用システムが必須だと考えがちですが、法律上、特定のシステム導入が義務付けられているわけではありません。
取引件数が少なければ、事務処理規程とファイル名のルールを組み合わせて対応できる場合があります。一方、取引件数が多い、複数部署からデータが集まる、保存漏れのチェックに時間がかかる企業では、証憑管理システムを導入したほうが運用負担を抑えやすくなります。
「猶予措置を利用できるか」だけで判断するのではなく、将来的に通常要件へ移行することも考え、無理なく継続できる保存方法を選ぶことが大切です。
いいえ。電子取引データ保存の義務化が2026年まで延長されたわけではありません。2023年末で宥恕措置は終了しており、2024年1月以降は一定条件を満たす場合に別の猶予措置を利用できます。
新しい猶予措置には一律の終了期限は定められていません。ただし、保存要件に従えない「相当の理由」があることが前提です。対応環境が整った後の取引については、通常の保存要件に沿った運用へ移行する必要があります。
事前申請や届出は必要ありません。ただし、税務調査時に所轄税務署長が相当の理由を確認する可能性があるため、なぜ要件どおりの保存が難しいのかを説明できる状態にしておくと安心です。
いいえ。電子取引で受け取ったデータそのものの保存が必要です。印刷した紙だけを保存し、元のPDFやデータを削除する運用では、猶予措置の条件を満たせません。
いいえ。一定条件を満たせば検索機能の確保が不要になりますが、電子取引データ自体の保存義務がなくなるわけではありません。検索要件の免除と、2024年からの猶予措置は別の制度として整理してください。
電子帳簿保存法の電子取引データ保存は、対応期限が延長されたわけではありません。2023年12月31日で従来の宥恕措置は終了し、2024年1月から「相当の理由」がある事業者向けの新しい猶予措置が設けられています。
猶予措置を利用する場合でも、電子取引データそのものは保存し、税務調査時にデータのダウンロードと出力書面の提示・提出に応じられる状態にしておく必要があります。また、猶予措置には一律の終了期限はありませんが、保存要件に従えない事情が解消した後まで無条件で使える制度ではありません。
対応が遅れている場合は、まず電子取引の発生場所を洗い出し、元データを消さずに保存する運用から整えましょう。そのうえで、自社の取引件数や体制に合わせ、事務処理規程やシステムを活用して通常の保存要件に対応できる体制へ移行することが重要です。