電子帳簿保存法の対応は税理士に頼むべき？依頼すべきケースと税理士選びのポイントを解説

電子帳簿保存法の改正で電子取引データの保存義務化や、スキャナ保存要件の緩和などの新たな対応が求められています。とくに、電子取引データ保存の義務化は、ほぼすべての事業者に影響を与える重要な変更点です。

このような電子帳簿保存法への対応を怠ると、青色申告の承認取り消しや重加算税の加重といったペナルティを受けるかもしれません。

税理士に対応を依頼すれば、ペナルティを受けるリスクを抑えられるだけでなく、経理業務の効率化を図れます。

本記事では、電子帳簿保存法の対応を税理士に頼むべきかについて、依頼すべきケースと税理士選びのポイントもあわせて解説します。

電子帳簿保存法改正で書類の保存ルールが変化している

電子帳簿保存法は、デジタル化の推進と国税関係帳簿書類の保存にかかわる事務負担の軽減を目的として、これまでも何度も改正がおこなわれています。とくに2022年1月1日に施行された改正が大きな影響を与えており、それにともなう2024年1月1日からの「電子取引データ保存の義務化」は重要な変更点です。

これらの改正は、紙による事務処理の負担軽減やペーパーレス化の促進、企業のDX推進を後押しするものです。一方で、電子取引データの保存義務化に関しては、すべての事業者が対応を迫られるため、システムの導入や運用体制の見直しなど、新たな対応が必要です。対応を怠ると、青色申告の取り消しや重加算税などの罰則を受けるかもしれません。

【結論】電子帳簿保存法の対応は税理士に頼むのがおすすめ

専門知識を持つ税理士に電子帳簿保存法の対応を依頼することで、法令違反リスクの回避や経理業務の負担軽減、会社全体の業務改善などのメリットが得られます。とくに、はじめて電子帳簿保存法に対応する事業者や、社内の経理・IT体制が十分ではない中小企業・個人事業主は、確実な対応を効率的に進められます。

電子帳簿保存法への対応に少しでも不安がある場合は、まずは税理士に相談してみるのがおすすめです。

電子帳簿保存法の対応を税理士に頼むべき5つの理由

電子帳簿保存法の対応を税理士に依頼することは、単なる法律遵守だけではなく、税務リスクの回避や経理業務の効率化などの大きなメリットをもたらします。とくに、法改正への対応に不安がある事業者や、経理業務のデジタル化を進めたいがノウハウがないといった事業者にとって、税理士は強力なパートナーです。

ここでは、電子帳簿保存法の対応を税理士に頼むべき5つの理由について解説します。

1. 法令対応のミスが大きなリスクにつながるから
2. 適切なシステム導入や運用設計ができるから
3. 税務調査への備えができるから
4. 社内のミスと手間を減らせるから
5. 業務改善・DX（デジタル化）にもつながるから

①法令対応のミスが大きなリスクにつながるから

電子帳簿保存法には、以下のような要件があります。

• 電子取引のデータ保存義務
• 検索機能の確保やタイムスタンプの付与
• 訂正削除の履歴管理　など

これらの要件に適切に対応しないと、青色申告の承認取り消しや重加算税の10%加重、税務調査での指摘などの大きなリスクにつながりかねません。

税理士はこうした要件を正確に理解しており、法令に沿った正しい対応を提案・確認してくれます。専門家のサポートで、制度違反による深刻なペナルティを回避できます。

②適切なシステム導入や運用設計ができるから

電子帳簿保存法は「制度」だけではなく、クラウド会計ソフトとの連携やスキャナ保存・タイムスタンプツールの選定、事務処理規程の整備など、システム選びや運用体制の設計が必要です。

税理士はこうした部分も含めて支援できるため、業務効率化・IT化のパートナーとしても心強い存在です。自社の業種や規模に最適なシステムを提案し、導入から運用まで一貫してサポートしてくれます。

③税務調査への備えができるから

書類の保存方法や運用に不備があると税務調査で指摘されて、経費否認（税金の追加徴収）や帳簿の信頼性低下、最悪の場合には推計課税などのリスクがあります。税理士に頼めば、第三者のチェックと記録が残るため、税務調査でも安心です。

税理士は真実性・可視性の確保などの保存要件を書類が満たしているか、検索要件に不備がないかなどを事前にチェックし、万が一税務調査が入った際も適切に対応してくれます。

④社内のミスと手間を減らせるから

自社だけで電子帳簿保存法に対応すると、書類の電子管理や運用マニュアル整備などに多くの手間がかかります。そこで税理士に任せることで、本業に集中できるだけではなく、運用ミスも防げるため、長期的に見て効率的です。

税理士に対応を依頼することで経理担当者の負担を大幅に軽減し、より重要な業務に集中させられます。

⑤業務改善・DX（デジタル化）にもつながるから

税理士は制度対応にとどまらず、ペーパーレス化やテレワーク対応、クラウド会計への移行といった経理の効率化・業務改善の提案も可能です。電子帳簿保存法をきっかけに、経理体制全体をレベルアップさせたい事業者にはとくにおすすめです。

税理士への依頼は単なる法令対応を超えて、会社全体のデジタル化と業務効率化を推進する貴重な機会として活用できます。

電子帳簿保存法対応の税理士選びで失敗しないためのポイント

電子帳簿保存法対応は専門性が高い分野のため、一般的な税務処理とは異なる視点での税理士選びが必要です。慎重な選択で、法令遵守と業務効率化の両方を実現できるパートナーを見つけられます。

また、電子帳簿保存法対応だけではなく、長期的なパートナーとして良好な関係を築くためにも、税理士選びで失敗しないためのポイントはおさえておきましょう。

ここでは、税理士選びで失敗しないための3つのポイントについて解説します。

1. 電子帳簿保存法への理解や対応実績があるか？
2. 円滑なコミュニケーションがとれるか？
3. 料金体系が明確か？

①電子帳簿保存法への理解や対応実績があるか？

電子帳簿保存法は頻繁な改正がおこなわれ、とくに直近の改正でその重要性と実務への影響が飛躍的に高まった分野です。すべての税理士が深い知識と経験を持っているわけではないため、税理士を選ぶ際は、以下のポイントも含めて確認しましょう。

• 顧問先での対応実績や成功事例があるか
• ITツールの知識があるか
• 電子帳簿保存法に関するセミナー開催や情報発信をおこなっているか

これらの要素を総合的に判断することで、電子帳簿保存法対応に精通した税理士を見つけられます。

②円滑なコミュニケーションがとれるか？

税理士と今後長いお付き合いを続けるうえで、ストレスなくコミュニケーションがとれるかどうかを見極めることは大切です。面談や無料相談を活用して、以下の点をチェックしましょう。

• 説明がわかりやすいか
• 自社のビジョンに興味を持ってくれるか
• 反応が迅速か

電子帳簿保存法の対応では、継続的な相談やサポートが必要になるため、コミュニケーションの質は重要な要素です。

③料金体系が明確か？

料金は税理士選びの重要な要素ですが、安ければ良いわけではありません。料金体系が明確であるかを以下のポイントを参考に確認しましょう。

• 顧問料・決算料・記帳代行料など、各費用が明確に提示されているか
• 自社の予算にあっているか
• 料金に含まれるサービス内容が明確か

また、相見積もりを取ることも検討し、サービス内容と料金のバランスを総合的に判断することが大切です。

まとめ｜電子帳簿保存法の対応は専門知識を持つ税理士に相談して、安全かつ効率的な運用を実現しよう

本記事では、電子帳簿保存法の対応を税理士に頼むべきかについて、依頼すべきケースと税理士選びのポイントもあわせて解説しました。

電子帳簿保存法は複雑な法律のため、内容に不安がある場合や経理体制のデジタル化が必要な場合は税理士への依頼が有効です。専門家のサポートで法令遵守と業務効率化を両立し、税務調査のリスクを軽減しながら本業に集中できる環境を構築できます。

法令対応のミスが重大なリスクにつながる可能性がある一方で、適切な対応により業務改善やDX推進の機会にも活用できます。自社の状況を踏まえて税理士への依頼を検討し、まずは無料相談を活用して複数の税理士を比較検討してみましょう。