更新日:2025.07.28
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電子帳簿保存法の義務化により、個人事業主も帳簿や取引書類の電子保存に対応する必要が生じています。タイムスタンプの付与や検索機能の確保など、法的要件を満たした電子データ保存が求められますが、このような対応を簡単におこなえるのが電子帳簿保存法対応のソフトです。
一方でどのソフトを選べば良いかわからない個人事業主も多く、法的要件を満たしていないソフトを選ぶと税務調査で問題となるリスクがあります。法令遵守と業務効率化を実現させるためには、自社の状況や予算にあった適切なソフトを選ぶことが大切です。
本記事では、電子帳簿保存法対応ソフトについて、個人事業主におすすめの選び方や無料で利用できるソフトの特徴、ポイントもあわせて解説します。
電子帳簿保存法対応ソフトとは、国税関係帳簿・書類を電子帳簿保存法の要件を満たした形で保存できる会計ソフトや専用システムです。これらのソフトは、可視性・真実性の確保などの要件に対応しており、企業や個人事業主が安心して帳簿の電子化を進められるように設計されています。
電子帳簿保存法対応ソフトは、「電子帳簿保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの保存区分に対応できる機能を持っています。どの保存区分に対応できるかは、ソフトごとに異なるため、自社の業務内容に応じたソフトの選択が重要です。
なお、電子帳簿保存法に適切に対応できないと、罰金が科される、青色申告の承認取り消しなどのリスクがあるため注意が必要です。
電子帳簿保存法対応ソフトは、電子帳簿保存法の要件を満たしながら、企業の経理業務の効率化とペーパーレス化を推進するために設計されています。
基本的にソフトはおもな機能は共通して備わっているため、これらの機能を活用することで、従来の紙ベースの管理からデジタル化された効率的な書類管理が実現可能です。
ここでは、電子帳簿保存法対応ソフトでできる5つのことについて、それぞれ解説します。
タイムスタンプの自動付与機能は、電子データに特定の日時を証明するタイムスタンプを付与する重要な機能です。この機能により、取引の日時を明確に記録し、法的な証拠としての信頼性を高められます。
訂正・削除の記録機能は、データの訂正や削除の履歴を記録する機能です。この機能により、保存された電子データの改ざんがないことを証明し、「真実性の確保」の要件を満たせます。
スキャナによる保存機能は、紙の請求書や領収書をスキャンして電子データとして保存する機能です。多くのソフトでは、スマートフォンでの撮影にも対応しており、手軽にデジタル化が可能です。
検索機能は、保存された電子データから必要な情報を迅速に見つけるための機能です。絞り込み検索や複数条件検索が可能で、「可視性の確保」要件の重要な部分を担っています。
データのバックアップと復元機能は、クラウド上にデータをバックアップすることで、災害や事故によるデータ消失のリスクを軽減する機能です。重要な経理データの安全性を確保できるため、安心して業務を継続できます。
個人事業主におすすめの電子帳簿保存法対応ソフトには、無料で利用できるものも含めていくつかの選択肢があります。
ソフトを選ぶ際には、それぞれの機能や条件を比較して、自分にあったものを選ぶのがおすすめです。とくに個人事業主の場合は、初期投資を抑えながら段階的にデジタル化を進められるソフトを選択することが重要です。
ここでは、個人事業主におすすめの電子帳簿保存法対応ソフト5選について、それぞれ解説します。
関連記事:【2025年最新】電子帳簿保存法に対応したソフトおすすめ5選!個人事業主向けの選び方も
マネーフォワード クラウド確定申告は、経理業務を効率化するためのクラウド型会計ソフトで、電子帳簿保存法に対応しています。このソフトの最大の特徴は、領収書を撮影するだけで自動的にデータ化され、保存が可能な点です。
無料プランは充実した機能で小規模事業者にも適しているため、はじめて電子帳簿保存法に対応する個人事業主にもおすすめです。銀行やクレジットカードとの連携機能も充実しており、取引データの自動取得で手作業での入力負担を大幅に軽減できます。
freee会計は直感的な操作が魅力のクラウド会計ソフトで、スマホアプリからも電子帳簿保存法に対応したデータ保存が可能です。このソフトの特徴は、レシートや領収書を撮影して自動で取引データとして保存できる機能です。
すべてのプランが30日間無料でお試しできるため、実際の使用感を確認してから本格導入を決められます。シンプルな画面設計で、会計の専門知識がなくても直感的に操作できる点が評価されています。
バクラク電子帳簿保存は、電子帳簿保存法の要件に則って、領収書や請求書などの国税関係書類を電子保存できるクラウドサービスです。書類をアップロードするだけで、タイムスタンプの付与や自動読取をおこなってくれる使いやすいツールです。
無料プランを提供しており、月200件まで書類のアップロードが可能で、電子帳簿保存法に対応しています。AI自動読み取り機能は、無料プランの場合はお試しで5件のみ利用できるため、機能を確認したうえで有料プランへの移行を検討できます。
楽楽電子保存は、「楽楽明細」と連携して、受け取った書類を一元管理できるシステムです。電子帳簿保存法に対応した書類の保管・管理に特化しており、AI-OCR機能や検索機能などで法的要件を満たしています。
自動でデータを保存し、検索もスムーズにおこなえるため、日常の書類管理業務が効率化されます。「楽楽明細」で受け取った書類のみ保存・一元管理できる無料プランも提供しているため、すでに「楽楽明細」を利用している事業者には、とくにおすすめのソフトです。
OPTiM 電子帳簿保存は、AI解析に強みを持つツールで、請求書や領収書などの取引情報を電子化し、一元管理が可能です。電子帳簿保存法の検索機能の確保に必要な「取引年月日」「金額」「取引先」をAIが自動入力する機能が特徴的です。
モバイル端末向けの書類撮影・アップロード機能もあり、どこでもスキャンやアップロードができる利便性があります。無料プランも提供しており、アップロード件数が月10件までの制限がありますが、ユーザー数や容量制限はないため、小規模な個人事業主には適したプランです。
電子帳簿保存法対応ソフトを選ぶ際のポイントは、個人事業主の規模や業務内容、求める機能ごとに異なります。
とくに個人事業主の場合は、コストと機能のバランスを重視したソフトの選択が推奨されています。これらのポイントを総合的に判断して、自社の事業規模や用途に最適なソフトを選択することで、長期的に満足度の高いシステム運用が実現可能です。
ここでは、電子帳簿保存法対応ソフトを選ぶ5つのポイントについて、それぞれ解説します。
電子帳簿保存法対応ソフトの選択で重要なのは、保存要件を満たしているか確認することです。とくに、タイムスタンプの付与や訂正・削除の履歴が残る機能が必要で、これらの機能によりデータの真実性と非改ざん性を確保できるため、税務調査の際にも安心して対応できます。
OCR(光学式文字認識)機能が搭載されているかどうかの確認も重要なポイントです。この機能により、紙の書類をスキャンして自動的にデータ化できるため、手作業での入力を減らし、業務効率を向上させられます。
ソフトの使いやすさや操作性も選ぶ際の重要な基準です。直感的に操作できるインターフェースや、既存の業務フローに適合するかどうかを確認し、導入後の運用負担を軽減できるシステムを選ぶことが望ましいです。
保存できる書類の種類や件数に制限がないか確認することも重要です。大量の書類を扱う場合は保存容量やファイルサイズの制限、業務に携わる人数が多い場合はアカウント数の制限も事前に確認しておきましょう。
ソフトの導入費用や運用コストの確認は、個人事業主にとってとくに重要なポイントで、月額料金や初期費用、追加機能の料金など、予算に見合ったプランを選ぶことが大切です。
また、長期的なコストを考慮して、費用対効果を評価することも重要です。
本記事では、電子帳簿保存法対応ソフトについて、個人事業主におすすめの選び方や無料で利用できるソフトの特徴、ポイントもあわせて解説しました。
電子帳簿保存法対応ソフトは法的要件を満たしながら帳簿の電子化を実現するツールで、タイムスタンプ機能や検索機能など、法的要件を満たす機能が自動化されるため、安心して法令に対応できます。また、無料プランから始められるソフトもあるため、コストを抑えて導入可能です。
適切なソフト選びで、個人事業主は法令遵守と業務効率化の両立が可能になり、経理業務負担を大幅に軽減できます。まずは無料プランからはじめて、事業の成長に応じてプランをアップグレードすることで、リスクを抑えながら効率的なデジタル化を進めましょう。