更新日:2025.07.28
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電子帳簿保存法において、「訂正削除履歴をどのように記録・管理すべきか」で迷っている経理担当者や経営者も少なくありません。適切な履歴管理をおこなわないと、税務調査での指摘や青色申告の承認取り消しといったリスクが生じる可能性があります。
訂正削除履歴は、データの透明性や信頼性を確保するために重要で、適切な対応で法令遵守だけではなく、企業の信頼性も高められます。また、電子帳簿保存法の要件を満たしたシステムの導入で、業務の効率化とコスト削減を同時に実現可能です。
本記事では、電子帳簿保存法の訂正削除履歴の概要や管理システムの要件について、対応方法もあわせて解説します。
訂正削除履歴とは、電子帳簿保存法にもとづいて、電子データの訂正や削除がおこなわれた際に、その詳細や経緯を記録するための履歴のことです。データの変更履歴を追跡できることで、リスク管理の向上や業務品質の改善も期待できます。
訂正削除履歴に記録される内容には、以下のような項目が含まれます。
これらの情報は、電子帳簿保存法にもとづく要件を満たすために必要不可欠であり、企業の信頼性や透明性を向上させるために重要です。とくに税務調査では、データの改ざんがないことを証明する重要な証拠として活用されます。
なお、電子帳簿保存法では訂正削除履歴の管理についての法令要件が定められているため、自社の業務と要件の兼ね合いでの選択が必要です。
訂正削除履歴の管理では、電子帳簿保存法の要件を満たす専用の機能を備えたシステムが必要です。適切なシステムの導入で、法令遵守と業務効率化を並行して実現可能です。
とくに、重要なポイントはデータ授受の一元化であり、取引情報の授受は、必ず同じシステム内でおこなう必要があります。システム外で受け取ったデータをあとからシステムに保存する場合、改ざん防止の要件を満たさないため注意が必要です。
ここでは、訂正削除履歴の管理に必要なシステムの4つの要件について解説します。
データの訂正や削除がおこなわれた際、その履歴を自動で記録する機能が必要で、「いつ」「誰が」「どのような」変更をおこなったのかを追跡できます。
手動での履歴管理では記録漏れや記録ミスが発生するリスクがあるため、システムによる自動記録が重要です。これにより、確実で正確な履歴管理が実現できます。
訂正や削除ができない設定のシステムを利用することも選択肢の1つで、この方法により、データの改ざんを防ぎ、真実性の確保が可能です。
データの改ざんが物理的に不可能なシステムの採用で、高いレベルでの真実性を担保できます。とくに重要な取引データには、この機能が有効です。
データにタイムスタンプを付与することで、データがいつ保存されたかの証明や改ざんの防止に役立ち、データの信頼性が向上します。
タイムスタンプは第三者機関による証明となるため、法的な証拠能力が高く、税務調査などでも有効な証拠として活用できます。
「取引年月日」「金額」「取引先」などの情報で検索できる機能により、必要なデータを迅速に見つけ出すことが可能です。
検索機能の充実で、税務調査への対応や日常業務での書類確認が効率的におこなえます。とくに、日付や金額の範囲指定検索機能は、電子帳簿保存法で必須の要件です。
電子帳簿保存法には、大きくわけて「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの区分の書類に対する保存要件があります。要件に正しく対応して書類を保存しないと、青色申告の承認取り消しや重加算税が加算されるなどのリスクがあります。
これらの要件を理解して適切に対応することで、法令遵守と業務効率化の両立が可能です。
ここでは、電子帳簿保存法のおもな2つの要件について解説します。
電子取引データの保存では、真実性を確保するための措置が求められます。具体的な方法は、以下のとおりです。
これらの措置により、データの改ざんを防ぎ、信頼性の高いデータ管理が可能です。
可視性の確保では、保存したデータを検索・表示できるようにすることが求められます。具体的な要件は、以下のとおりです。
これらの要件を満たすことで、税務調査への対応や日常業務での効率化を実現できます。
電子帳簿保存法に効率的に対応するためには、適切なシステムの導入が効果的です。サービスやシステムの導入で、法令遵守・業務効率化・コスト削減・内部統制の強化などの効果が期待できるだけではなく、将来的な業務の拡張にも対応できる体制を整えることが可能です。
とくに、JIIMA認証を受けたシステムは、電子帳簿保存法の要件をクリアしていることが保証されているため、安心して導入できます。
ここでは、保存要件への対応に効果的なおすすめの3つのサービスについて解説します。
OneVoice明細は、請求書や納品書、領収書などをクラウド上で作成・管理できるシステムです。料金確定や請求書の発送、顧客管理を一元的におこなえる機能が特徴です。また、請求書や納品書・支払明細などのさまざまな帳票に対応しているだけではなく、現在の帳票のレイアウトもそのまま使用できます。
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本記事では、電子帳簿保存法の訂正削除履歴の概要や管理システムの要件について、対応方法もあわせて解説しました。
訂正削除履歴は電子帳簿保存法の重要な要件であり、適切なシステムでの管理が効果的です。
システムを選ぶ際は、自社の業務フローに適合し、JIIMA認証を受けたものを選ぶことで安心して導入できます。導入目的の明確化や電子化する書類の洗い出し、業務フローの見直しといったステップを踏むのがおすすめです。
また、システム導入により法令遵守・業務効率化・コスト削減・内部統制強化を同時に実現できます。早期のシステム導入で電子帳簿保存法への確実な対応を進めながら、企業の信頼性向上と業務効率化を実現しましょう。