更新日:2025.06.26
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電子帳簿保存法は、国税関係書類のデータ保存を可能とする法律です。取引先から受領した書類を電子データとして保存するためには、定められた要件を満たさなければなりません。
とくに、紙の書類を電子化する際にはタイムスタンプの付与や検索機能の確保など、データ保存が完了するまでに手間がかかります。
そのため、効率的に国税関係書類をデータ化・保存するなら、クラウドサービスの活用がおすすめです。クラウドサービスを利用すれば、電子帳簿保存法の要件を満たしつつ簡単にデータを保存できます。
本記事では、電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスの概要について、活用するメリットやサービスの選び方を解説します。
2023年12月31日に宥恕(ゆうじょ)措置が終了したことで、2024年1月1日から電子帳簿保存法が義務化されました。これにともない、電子取引によって受領した請求書や領収書などは、電子データのままで保存しなければなりません。
このような背景から、電子データでの保存に対応できるシステムや環境の整備が必要となりました。
国税庁では経理業務の生産性向上を目的として、会計システムをはじめとするツールの使用を認めています。そのため、電子データを保存する際には、電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスの活用がおすすめです。経理業務においてクラウドサービスを活用すれば、これまでよりも生産性を向上させられます。
クラウドサービスを契約してストレージに電子データを保存しておけば、効率的に国税関係書類を管理しやすく、経理業務の負担軽減が期待できます。
電子帳簿保存法への対応に限らず、近年はさまざまな分野でクラウドサービスが活用されています。クラウドサービスを活用すれば、紙の書類のまま保管するように広いスペースは不要で、書類管理の効率化が可能です。
クラウドサービスの導入を検討している方は、サービスの概要や特徴を把握しておきましょう。
ここでは、電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスの基本知識や種類について解説します。
クラウドストレージとは、インターネット上に設けられたファイルを保管するためのスペースのことです。クラウドストレージ内にファイルが保管されていれば、他者への共有が簡単におこなえます。
クラウドストレージを提供するサービスは多く、ユーザーは登録・契約するだけで、いつでもストレージを利用可能です。
また、クラウドストレージの身近な例には、Googleの「Googleドライブ」やMicrosoftの「OneDrive」などがあります。
クラウドサービスとは、インターネット経由でソフトウェアを利用できるサービスのことです。主な種類には以下の4つがあります。
上記のように、種類ごとに特徴があるため、自社の状況や環境にあわせて電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスを活用することが重要です。
近年はDXが推進されており、経理業務に変革をもたらすためには、クラウドサービスが必要です。電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスの利用には、業務効率化やデータ紛失のリスク低減などのメリットがあります。
ただし、企業の状況によって得られるメリットが異なるため、まずはどのようなメリットがあるのかを把握することが重要です。
ここでは、クラウドサービスで電子帳簿保存法に対応する3つのメリットを解説します。
従来のように紙の書類を手作業でファイリングする場合は、手間がかかり書類を保管するためのスペースが必要です。
しかし、クラウドサービスを利用すれば、電子帳簿保存法に対応しつつデータを簡単に保存できます。
電子データはすべてストレージに保存されるため、保管スペースを確保する必要がありません。また、タイムスタンプの自動付与に対応したクラウドサービスを利用すれば、複雑な操作をすることなく電子帳簿保存法の要件を満たすことが可能です。
従来の方法では適切に管理していても、膨大な書類のなかから必要なものをすぐに探し出すことは困難でした。
しかし、クラウドサービスを利用すれば、電子データを保存するだけで「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索しやすいように管理が可能です。また、インターネットを経由すれば、どこからでもデータの閲覧や編集ができるため、経理業務の効率を向上させられます。
紙の書類をファイリングして管理していると、どうしても書類を紛失するリスクがあります。
しかし、クラウドサービスを利用すれば、データを紛失するリスクの低減が可能です。クラウドサービスには操作の履歴が残り、検索機能もあるため保存場所がわからなくなる心配がありません。
また、紙の書類のように経年劣化で記載されている文字が消えてしまわないことも、クラウドサービスを利用して書類を保存するメリットです。
電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスには、さまざまな種類があります。
それぞれ特徴や機能が異なるため、ポイントをおさえて自社にあったサービスを選ぶことが重要です。自社に必要な機能を把握していれば、クラウドサービス選びで失敗するリスクを抑えられるでしょう。
ここでは、電子帳簿保存法対応のクラウドサービスを選ぶ際の4つのポイントを解説します。
JIIMA認証とは、「電子帳簿ソフト法的要件認証制度」のことです。この認証を取得しているクラウドサービスは、電子帳簿保存法の法的要件を満たす証となります。
そのため、クラウドサービスを選ぶ際には、JIIMA公式ホームページに掲載されているJIIMA認証情報リストを確認しておきましょう。
タイムスタンプとは、付与した日時以降にデータの改ざんがおこなわれていないと証明するためのものです。
電子帳簿保存法では、スキャナ保存の要件を満たすために、対象となる書類のデータにタイムスタンプを付与しなければなりません。
ただし、修正削除の履歴が残るクラウドサービスを利用する場合は、タイムスタンプの付与が不要です。
OCRとは、紙に記載された文字をスキャンした際に、文字を自動的にデジタル化する機能のことです。OCR機能があるクラウドサービスでは、受領した書類を手入力する必要がないためミスを防げます。
OCR機能の精度はクラウドサービスによって異なるため、事前に利用したいサービスの精度を確認しておきましょう。
電子帳簿保存法の対象となる書類には、請求書や領収書、契約書などさまざまな種類があります。そのため、クラウドサービスを選ぶ際には、自社で扱う書類に対応しているかの確認が必要です。
とくに、電子取引の頻度が高い場合は、幅広い書類に対応したクラウドサービスを選びましょう。
電子帳簿保存法は複雑であり、すべて手作業で書類を保存しているとミスを引き起こす可能性があります。そのため、起こり得るミスを防ぐために、電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスの活用がおすすめです。
ここでは、電子帳簿保存法への対応におすすめのクラウドサービスを4つ紹介します。
invox電子帳簿保存は、国税関係のさまざまな書類を電子保存するための文書管理システムです。申込書や注文書など定型フォーマットの書類は、AI OCRによって自動でデータ化してもらえます。
また、書類や部門ごとにワークフローを設定できるため、訂正削除の際にダブルチェックや決裁権限に応じた承認が可能です。
POTiM 電子帳簿保存は、AI解析とOCR機能を備えた電子帳簿保存システムです。取り込んだ書類から、自動で「取引先企業名」「取引年月日」「取引金額」などの情報を抽出してくれます。
また、幅広い書類形式・ファイルに対応しているため、電子取引の機会が多い企業におすすめです。
楽々クラウド電子帳簿保存サービスは、NTTファイナンスが提供するクラウド型の文書管理システムです。直感的な操作性を備えているため、はじめての方でも迷うことなく利用できます。
また、月額900円(税込)から利用でき、利用件数に応じた従量課金制を採用しているため、スモールスタートから大規模利用まで幅広く対応可能です。
楽楽電子帳簿保存は、あらゆる書類に対応した電子帳簿保存システムです。基本無料で利用でき、有料プランを契約することで使用できる機能が拡張されます。
また、紙のスキャンにも対応しているため、受領形式を問わず国税関係の書類を一元管理することが可能です。
本記事では、電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスの概要について、 活用するメリットやサービスの選び方を解説しました。
2024年1月1日以降、電子取引における電子データ保存が義務化され、企業には電子帳簿保存法への対応が求められます。電子帳簿保存法は内容が複雑であり、何度も法改正が実施されているため最新のルールを把握したうえでスムーズな対応が必要です。
電子帳簿保存法に対応する際の負担を軽減するなら、クラウドサービスの活用がおすすめです。クラウドサービスなら、電子帳簿保存法の要件を満たしたうえで効率的に国税関連の書類を管理できます。
ただし、クラウドサービスによって特徴や利用できる機能が異なるため、ポイントをおさえて自社にあったサービスを選ぶことが大切です。